2018年11月7日に吉澤嘉代子が4枚目となるアルバム『女優姉妹』をリリースした。
『女優姉妹』に収録されたのは女性をテーマにした全10曲。
この記事では、私が好きな歌詞も紹介しつつ、アルバムを全曲レビューする。
01. 鏡
「鏡」は美しいストリングスが印象的。
吉澤嘉代子が作るドキッとさせる歌詞で怪しげな世界観に一気に引き込まれる。
制服の影がまどろみの室で みつあみを解きあう
吉澤嘉代子『鏡』より
純潔の白いカーテンの奥は 私たちだけの秘密よ
見てはいけない、聞いてはいけない男子禁制の場所にこれから飛び込んてしまうのだ。
自分が悪いことをしているような気分で聞いてしまうのが快感になりつつある……。
02. 月曜日戦争
1stシングルのリード曲『月曜日戦争』はTVドラマ『架空OL物語』の主題歌。
ドラマのための描き下ろし曲だが、女性をテーマにした『女優姉妹』にもピタリとハマっている。
この星を守ってきたのは いつだってそう
吉澤嘉代子『月曜日戦争』より
ヒーローではなくて ヒーターだったの
彼女のお茶目さも感じられる歌詞になっていて、「月曜日がんばるぞー」という気持ちになる1曲。
03. 怪盗メタモルフォーゼ
「怪盗メタモルフォーゼ」は2ndシングル『残ってる』のカップリング曲だが、収録されているバーションが大きく異なる。
シングルに収録されていたのは資生堂化粧品のCM Versionで、ピアノが印象的な可愛らしい曲だった。
アルバムにはフルバージョンで収録されており、アレンジも怪しげなテイストが強くなっている。
私はどちらのアレンジも好きだ。
サビでは可憐な少女、Aメロでは惹きつけられるストーリーテラー、Bメロではふわっとした女性。
1曲のなかで様々な表情を見せる吉澤嘉代子の良さが伝わる曲だ。
04. 女優
「女優」はアルバムのリードトラックとも言える。
午後の撮影スタジオ~と始まるAメロの歌詞から女性の仕事がうかがえた。
仕事と恋、女性としても生き方がトゲトゲしくて、そのトゲの先端を丸くしてくれるのは恋。だけどその恋は新たなトゲも作ってしまう。
でも、微かでも、光があるなら。
彼女の想いがつまった曲なのかなと感じた。
05. ミューズ
「ミューズ」は3rdシングルのリード曲。
アルバムの流れとして「女優」のあとに「ミューズ」があるのはすごく救われる。
テンションをグッと上げて、身近な現実に戻ってきた感じがする。
06. 洋梨
「洋梨」は1stシングル『月曜日戦争』のイラストレーションを担当したたなかみさきさんとのデュエット曲。
たなかさんのインスタグラムによると一緒にスナックに行ったのがきっかけで、「洋梨」が収録されたそう。
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タイトルと歌詞のなかで繰り返される「用も無いのに」というダジャレ感からして、おふざけ感が満載だ。
おふざけのなかにも怖い歌詞があるのは見逃せない。
熟れた果肉を齧るなら 黒い種ごとのみこんでね
吉澤嘉代子『洋梨』より
アナタの腹から発芽する子供たちが 根を張る夢見てる
レコーディングも楽しそうな2人。
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07. 恥ずかしい(新録)
「恥ずかしい」は現在入手困難となっている『魔女図鑑』に収録されている。今回は新たに録り直したものをアルバムに収録。
初期に比べてドラムしかり、歌の力の抜き方などが綺麗にまとまっているように感じた。
しかし、恥ずかしさ度合いも減少したかもしれない……。
08. よるの向日葵
「よるの向日葵」はイントロのピアノどおり、せつない曲。
吉澤嘉代子のやさしい歌声でさらにせつなさを増してくる。
誰にでも変わらず 優しい顔するなら
吉澤嘉代子『よるの向日葵』より
ねえ お願い 私だけにいじわるしてよ
想いが伝わらない場面はいっぱいあるけど、ずっと想っていたのは自分だけで、たどり着くのはこの歌詞。
曲の主人公のまっすぐな想いが伝わって胸が締め付けられる。
09. 残ってる
「残ってる」は2ndシングルのリード曲。じわじわとヒットを続け、吉澤嘉代子の知名度が上がったのもこの曲による影響が大きい。
「よるの向日葵」から続けて聞くと「残ってる」から感じられる力強さにビックリする。
10. 最終回
「最終回」の名のとおり、アルバムのラストを飾る曲。
ここまでの流れをガハハと笑い飛ばすような豪快さはスッキリした気持ちになる。
ちなみに歌詞のなかでよく出てくるオロロンはアルバム『屋根裏獣』に収録されている「ユートピア」でも使われた泣きの表現。
『女優姉妹』アルバム全体の感想
前作『屋根裏獣』はおとぎ話のようなコンセプトを強く感じたアルバムだったが、今作『女優姉妹』は現在の物語を感じるアルバムだった。
女性が時に強く、時に弱く、ちょっと面白く。
吉澤嘉代子から見た女性がいっぱい詰まった作品になっていて、男性である私もその一端を覗き込める面白さもあった。
「女優」から「ミューズ」、「よるの向日葵」から「残ってる」など、曲によっては単体で聞くとせつないものも、アルバムの流れによってスムーズに聞けたのは選曲の妙だと思う。
次回のテーマがどのようになるのか分からないが、吉澤嘉代子から見た男性というコンセプトも面白そうだ。
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