バンド初の印税が銀の玉となって消えた話

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バンド初の印税が銀の玉となって消えた話
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バンドマンがCDをリリースしたあと、楽しみなのが「印税」
自分たちが作った曲がCDとして売れたり、放送など何かで使われたりすると発生する、ありがたいお金だ。

私もバンドマン時代に印税を頂いたことがある。

この記事では、私のバンドが初の印税をもらったときのお話をしたいと思う。

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バンド初のCDリリース

音楽配信もスタートしていたが、まだまだCD全盛の時代。
私が所属するバンドで、初めてのCDリリースが決まった。

CDを出そうと思えば、自分たちでも作れるし、それでもCDリリースとは言える。

でも、レーベル・事務所が身銭を切って自分たちのバンドのCDを作ってくれるというのは、業界に認められたような気がして嬉しかった。

CDリリースにあたり雑誌取材を受けたりして、いよいよ自分もミュージシャンになったんだなと実感した。

実感が湧くのと同時に、CDがどれぐらい売れるのかという不安もあった。

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気になる印税

CDがリリースされるとなれば、その売上によって印税が入ってくることは音楽業界に関わっていない人でも知っている。

一口に印税と言っても、メンバーによってその金額はまちまち。
バンドがもらう取り分は、作詞・作曲・アーティスト印税に分かれていて、それぞれが1%ぐらい。

かなり売れないとたいしたバックはない。

私の場合は、演奏のみで作詞、作曲に関わっていなかったので、アーティスト印税のみ。
その少ない印税をバンドメンバーの人数で割るのだから、本当に雀の涙である。

アーティスト印税

ミュージシャンに支払われる印税。
ソロアーティストですら、少ないのにそれをバンド人数で割るとさらに少なくなる。

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バンドで決めていた印税の使い道

私のバンドでは、各自がもらった印税をバンドの活動資金として管理することが決まっていた。

正直なところCDはたいして売れなかったため、それほど印税が入ってきたわけではない。
それでも、カツカツで活動していた私たちにとっては貴重なお金だった。

毎回リハーサルで入るスタジオ代が浮くだけでも、ありがたかったのだ。

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そして印税はなくなった

CDリリースから少し期間があいたが、私のバンドはツアーで大阪を訪れていた。

移動の疲れもあり、自分の出番が終わったあとは、メンバー全員が機材車で眠った。

運転担当のメンバーとナビ担当の私が熟睡している間に、他のメンバーたちはどこかに出かけた様子。

私が起きると、目の前のピカピカした建物から、メンバーたちが出てきた。
メンバーの表情は一様に暗い。

えむ

えむ

どうした?

A

A

イケると思ったのに、結局負けちゃったわ

B

B

今日やけに金持ってたよね

A

A

印税使っちゃった

全員

全員

えぇーーー!

どうやら、印税を銀の玉に変えて機械に流し込み、ジャンジャンバリバリする軍資金にしてしまったようだ。

Aいわく、印税を元手にしてバンド資金を大きく増やそうとしたとのこと。

他のメンバーは怒っていたが、私は怒る気にはなれなかった。
リリースしたCDの作詞・作曲はすべてAが担当していたから、本来は彼の才能で稼いだ印税だ。

彼は自分のお金を自分で使っただけに思えた。

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冷たい車内

ツアーからの帰り道、車内は静かだった。
バンドでの約束を破ったのだから、メンバーが怒るのも当然かもしれない。

Aはバツが悪そうにiPodを出すと、今作っているという新曲を聞かせてくれた。
その曲は、今までで一番カッコイイ曲だった。

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おわりに

親友とか、親族とか、近い関係でもお金によって、その関係が崩れてしまうという話はよく聞く。
この話も、バンドの関係が壊れてしまうポイントだったのかもしれない。

でも、Aは自分のために何かをする人ではなく、いつもメンバーの事を考えている人だった。
そんな彼の日頃の行いがあったからこそ、バンドが崩壊しなかったのかもしれません。

えむ

えむ

このバンドはとっくに解散しましたが、未だに毎年集まって酒を酌み交わしていまーす!

えむ

えむ

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えむ

えむ

ドラマー/ブロガー

ドラマーとして複数のV系バンドに参加。ワンマン、ツアー、レコーディング、握手会などを経験する。
バンド解散後、サポートドラマーに転身。数多くのバンドで仕事をしたのち、約10年の活動に区切りをつけて引退。
えむグルーヴでは過去の経験を活かし、バンドマンへのアドバイス記事を書いている。

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